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ラコリーナ近江八幡

今回の建築散歩は近江八幡に本社を置く菓子店『たねや』のフラッグシップ店で、建築設計は藤森照信氏が手掛けた人気のスポットです。

 

藤森昭信さんといえば「建築緑化」「自然を現代建築に生かす」を建築テーマとして掲げており、
過去や現在のどの様式にも当てはまらない建築として有名です。

 

ゲートをくぐると目の前に草屋根の平屋がドーーーンと広がります。

季節ごとに表情を変える草屋根が見事で、一年を通していろいろな姿が見てみたい、、!
いつ見ても生き生きとしていて、お山がひとつ、そのままお店になったよう。

 

建物に近寄っていくと、足元の照明に手仕事を発見。
銅を叩いて制作された、オリジナルの照明が随所に置かれていました。

ラコリーナ近江八幡は、建築を学ぶ学生や、たねや従業員が仕上げ作業に参加しているそうです。
HPの公式ブログにその様子が綴られていますが、藤森氏の指示のもとみなさんが楽しそうに作業している写真を拝見すると、うらやましい限りです、、、!銅を叩いて加工したり、土壁をぬったり、、、。

 

 

草屋根は軒先にロール状の草を配置することにより、かやぶき屋根のような厚みと見た目の重みを表現しているそう。
薄く見えてしまうと貧相になりそうですが、見た目に厚みを持たせることによって
生い茂る屋根が存在感を増しこの建物の「顔」となるわけですね。

個人的に好きなのが、建物から滴る水です。
人が通るところには雨どいが設置されていますが、雨どいがないところからは
自動散水によって放出されている水がいつもぽたぽたと滴っているのです。

そして、その水は直接地面へと落ち、そこには自然と小川ができていました。

 

ラ コリーナの随所で見られる栗の木の柱は、その優しい肌質がとてもあたたかな雰囲気をつくり出しています。一つもまっすぐの柱はなく、自然に生えるままの形が残されていました。
ベンチもくねくね。栗の木をスライスしたそのままの形状です。

冒頭にも書きましたが、いたるところに藤森氏の「自然と一体」という考えがちりばめられ、見つけ出すたびにうれしくなります。

 

さて、やっとメインショップにつきました!
なんといってもこの天井。漆喰に炭片を配した独特のディテールです。

見上げていると何とも不思議な気持ちになりました。音の反響を考慮した仕上げだそうです。

 

 

ショップを抜けて、田んぼを散策すると本社社屋が見えてきます。
なんだあのどんぐりみたいなまるい屋根は!

こちらもワークショップによって人の手で叩かれた銅板で
うろこのように重なり合わせることによって、硬い鉄板でも美しい円形をつくりだすことを可能にしたのだとか。
中は公開していなさそうです、、。過去にツアーが組まれていたそうですね。うらやましい!ああ見てみたい~!

 

 

敷地内にはカクカクした人工物や、自家用車の姿が排除されており
“非日常の空間”をつくりだし、我々を魅了します。

自然と人の橋渡しとして建物を設計している藤森昭信氏の建築には、
人間のあるべき姿に気づかされるようで、ドキッとします。
子供のようにピュアな心で自然に身をゆだねるゆとりをもたなくちゃ、、、
カチカチ脳の私はハッとさせられました。

新築やリフォームを、ジャンルや工法に縛られず幅広く手掛けています。
お気軽にお問い合わせください。

受付時間
9:00〜18:00(土日祝を除く)