奈良ホテル:辰野金吾作品
みなさんこんにちは!
本日は、第二回奈良の旅です。
気長にお付き合いください。
夏休み、むかったのは1909年――明治42年に創業した奈良ホテル。
辰野金吾氏の建築物で、明治時代から形を大きく変えずに現存しており、
奈良の雅な景色に溶け込む和洋折衷の美しい建物は、当時「西の迎賓館」と呼ばれていました。
個人的に辰野金吾氏のイメージは洋風建築の印象が強かったので、
周りの景観に合わせるための建築だそうですが、和風の建物を見たときには少し驚き。
距離のあるアプローチを超えると見えてくる外観は、
白い漆喰の壁、色の深い梁、日本瓦の屋根から、タイムスリップしたような気持ちになれます。
避難梯子がむき出しになっている建物って今あまり見ないですよね。
おそらく避難梯子と思われるこちらも、景観と備わっていい味が出ています。
歩き進めると、出てくる板張り天井の玄関。
上部には火災を嫌う意味をもつ、神社仏閣の屋根に見る妻飾り懸魚(げぎょ)が設置されていました。
中央棟の共用部ロビーは吹き抜けとし、談話室・読書室・禁煙室ともに格式高い折上格天井を使用されていました。
玄関には赤い絨毯が敷かれ、重厚な雰囲気が漂います。
一階部分には、真壁造りで柱を見せ、長押を巡らせ、格天井や竿縁天井など、和風の要素も多く交えつつも床はカーペットで何とも言えない融合。
暖炉をはじめ、創業当時からの調度品や貴重な美術品に囲まれたノスタルジックな空間には、
悠久の時を感じさせるようなゆったりとした時間が流れています。
暗い印象の木材を使用することで、クラシックな印象を残しつつも高級感も感じられます。
暖炉のところには鳥居や、狛犬もいて一気この空間だけで和洋折衷だなあ・・と。
内装は桃山風の意匠を施し、まさに贅を尽くしたもの。
すっと背筋が伸びるような。
フロントとバーの間の壁に設置された、上部の曇りガラスは1900年頃のアールデコ風。
日本では欄間のイメージが強いかと思いますが、こんなところに西洋の雰囲気が。
宿泊はかなわなかったものの、庭に面した客室も古き良きを感じることができるそうです。
明治からの歴史を是非お立ち寄りの際にご覧ください。