オフィス・ビル

DEAN & DELUCA 京都店

今回のクラップ散歩はDEAN & DELUCA京都店。

大正時代初期に銀行として建てられた重厚感をそのままに、歴史を感じる外観です。
建築設計は辰野金吾氏(東京駅舎の建築設計で知られています)で、
彼の特徴である赤レンガに白い花崗岩の装飾、屋根には銅の小屋がのっています。
本ビルもどことなく東京駅舎を思わせる外観ですね。

店内入り口の床はおそらく当時のままで、柄によって線引きされたタイル調の文様に当時の遊び心を感じます。
はがれている部分や色褪せているところを見ると、銀行だった頃たくさんの人がここを行き来していく風景が見えてくるようです。

 

真っ白な壁に5メートは超えていそうな高い天井はとても解放感があり気持ちが良い。大正建築ならではの贅沢な作りですね。

現代の建物にはない音の響きも味の一つ。今はスピーカーから流れる音楽が建物と共鳴して他にはない心地よい空間を作り出していました。
昔は働く人や訪れる人の声、銀行ならではの機械音などが響き渡って活気のある場だったことでしょう。

原状はモルタル仕上げの床、ステンレス天板、アイアン調の什器で統一された店内は、主役の商品を一層際立だせる奥ゆかしさを感じました。

 

奥に進むとテラス席があります。こんなにビルに囲まれたとことにテラス席、、、?と思いながら進むと、そこはとても気持ちの良い空間でした。

大正初期に建てられた味深い本ビルの背面を眺めながら設備の揃ったテラス席で一休み。
照明は写真ようにリズムよく並んでいて、おさまりも良く可愛らしい、、、!
新旧いいところどりのテラス席はぜひとも利用していただきたい場所のひとつです。

 

テラスから続くお手洗いを覗いてみると、暗い!とにかく暗い!
小さいダウンライトが3つあるだけの最低限の明かりに潔さを感じました。
確かにこのトイレに明るさは必要ないんです。また、そのレベルに合わせて洗面も壁もとにかくシンプル。かっこよかったなぁ、、。

「お化粧直しするかも」「足元が見やすいほうがいいのかも」、、、と足し算してしまいがちな自分に反省です。

 

 

 

さて、一歩下がって建物全体をみると、銀行の名残にあえて強い存在感を出している印象。ダイナミックな階段と金庫跡にどデカい柱の装飾。

役割を変えながらも、かつての存在を消し去らないという意識は
建築物やそれに携わってきた先人に対しての敬意を感じ、温かい気持ちになります。

今回もそのようなリノベーションに出会え、ほっこりとしたクラップ散歩となりました。

(そういえば、自分が利用していた下北沢の銭湯が「ニューヨーク・ジョー」という古着屋さんにリノベーションされたときは、自分も歴史の一部になったような気持ちになったのを思い出しました笑)

 

 

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