お知らせ

角川武蔵野ミュージアム

少し前に、角川武蔵野ミュージアムに行ってまいりました。

出版大手のKADOKAWAが埼玉県所沢市と共同で「ところざわサクラタウン」を昨年オープンさせ、約4万平方メートルの敷地に新オフィスや、イベントホールから商業施設、ホテル、さらには神社まで備えています。

 

JR武蔵野線東所沢駅から10分ほど歩いて住宅街を抜ければ、突如、石でできた武骨な巨大建造物が現れます。

 

壮大なスケールのこの建築物が角川武蔵野ミュージアムで、設計建築は隈研吾氏です。

 

高さ30メートルの巨大な岩の塊。50kg~70kgの岩盤20,000枚使用しており、石の総量1,200トン。。。想像するのが困難なほどの質量ですね。。

20世紀の建築はコンクリートと鉄という大量生産素材の時代だったが、これからの建築は物質というものをもう一度取り戻すべきだ、との考えから、隈研吾氏は人間の心に響く“木”と“石”という2つの素材にこだわったそうです。

多面体の岩デザインは、大地から隆起したかようなダイナミックなデザインで存在感を発し、見るものを圧倒します。

このようなデザインに至った経緯は所沢という土地にも関係していて
「関東ロームで覆われ、作物が育ちにくい武蔵野を緑あふれる大地に変えた人の力、土地のエネルギーをかたちに」というテーマがあったそうです。

このデザインを実現させるために選ばれた材質が石。

上記した通り、幅700mm、高さ500mmの中国・山東省の花崗岩2万枚、1200トンが岩の塊のような外壁20,000枚の花こう岩、おおよそ1,200トンの石が、この岩の塊のような外壁に使われました。

一体この重量をどのようにして支えているのか、、、。
ネットで調べていると3D図面を少しだけ見ることができましたが、、、
ワタクシメニハナニ何ガ何ダカ、、、笑 次元の違う世界でありました。

 

表面は凸凹を出すために割れ肌仕上げを採用し、花崗岩の持つ力強さを浮き立たせています。
一般的に、外壁には平坦に加工された3cmの厚さの石が用いられますが、ここでは7cmセンチの厚みの石の表面を叩き割り、厚みのなかでの凹凸が、印象的な陰影を与えています。さらに隣り合う石同士の目地を揃えないことで、荒々しさを表現し、一層の迫力を増しているように感じました。

見る角度や光の加減で様々な表情を見せ、「地形そのものが建築になったようなものが作りたかった」という隈氏の言葉のとおり、見る者の予定調和を崩し、自然階の脅威をも感じる外観でした。

 

今回私は4階・5階の図書館部分に入館しました。

本棚劇場は圧巻の空間です。
本に埋もれる、本が降ってくるかのよう、とよく表現されていますが、まさにその通り。

20分ごとにこの本の壁にプロジェクションマッピングが流され、その世界観に引き込まれました。「あぁ本が読みたい」「読書する姿は美しい」、、、と製作者の意図通り酔いしれてしましますね、、、笑

こちらの空間は今年の紅白歌合戦でも使用されていた場所なのでご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

そこから続くエディットアンドアートギャラリー。

こちらは手に取りやすい位置に本棚が並び、様々なジャンルの本が所狭しと置かれているので、本との新しい出会いが期待できる本棚でした。

読みたい本を探していく過程で、道草のように手に取った本を読む。
この偶然が図書館や大型書店を楽しむ醍醐味であると私は思います。

人間の脳をイメージして作られた乱雑な本棚で、目当ての本を目指して
どこに収納してあるのだろうか?ここでもない、あそこでもない、、と探すことに意味があり

まさに「本と遊び、本と交わる」といったテーマに相応しい施設であったと思います。

 

 

建築物のインパクトのある外観と、今も昔も変わらない「読書」に注力した中身のコントラストが新しい、是非再訪したい場所となりました。

 

 

 

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